『医学書院 医学大辞典』と『ステッドマン医学大辞典』は医学生や医師の生涯学習には必須アイテムであるが、この電子辞書にはこの両方が収録されている。これまでは重厚な辞典類を常に携帯することは物理的に困難であったが、このコンパクトサイズの電子辞書を携行することにより、学習効率は飛躍的に改善するであろう。
2008年2月7日号のThe New England Journal of Medicineに「Hutchinson-Gilford」という症候群の研究論文が掲載されていた。私はその症候群についてさっそくこの電子辞書で調べてみた。まず、この症候群の意味する内容については、『ステッドマン医学大辞典』で簡単に調べることができた。また、この症候群の代表的な関連疾患である「ウェルナー症候群」について、すかさず『医学書院 医学大辞典』で調べてみた。
そこでは、ドイツのWernerが1904年に初めて報告した論文の独語タイトルと雑誌名に加え、実際の患者の顔写真等、かなり詳しい内容の記載があり、症候への理解が深まった。
また、『医学書院 医学大辞典』の記載では「思春期以降に始まる早期老化が特徴」とあったので、さらに「思春期」について『広辞苑』へ飛んで調べた。
そこには、11〜17歳の年齢範囲で「春機発動期」が同義語であるとあり、これらの知識について記憶を取り戻すことができた。
この電子辞書は医学系に加え一般辞書や英語関係辞書などコンテンツが充実し、また検索速度が速くなるように工夫されている。
研究者にとっては、医学英語実用語法辞典が英語論文執筆に大いに役立つであろう。
The Economist誌を定期購読している私にとっては、充実した英語系辞典類のおかげで知的インプットを加速させることができたのが特にうれしい。
このポータブルな電子辞書はさまざまな場面で活用できる。
まず、文献抄読会や学会準備、臨床研究のための文献情報の精読などの場面で利用すると便利である。
また、研修医にとっては症例検討会や臨床病理検討会でリアルタイムに活用でき、医学生には国家試験対策などのグループ学習でも役に立つといえる。
また、看護師にとっては、医師が記載した患者カルテを把握するためにこの電子辞書を利用することにより、患者の診断内容を十分に把握することができ、結果として患者ケアの質が向上すると考えられる。