セイコーインスツル株式会社

SEIKO

水晶振動子とはQuartz Crystal

水晶とは?

一般的なイメージ 『水晶=宝石』

石英の一種で結晶形が明瞭なものを水晶と呼びます。
多くは無色透明で非常に透明度が高く、古来は水の結晶と考えられていました。

不純物により様々な色を呈し、とりわけ濃い紫に色付いた紫水晶(Amethyst)は美麗かつ希少であり、古くから貴石として親しまれています。

天然水晶から人工水晶へ

人工水晶育成への展開

第2次世界大戦直前の1930年末に通信機器用の水晶資源の不足が深刻な問題になり、ドイツとイギリスで水晶の育成研究が行われ始めました。
世界初の量産はアメリカですが、商業化が本格的に進んだのは第二次大戦後の日本でした。

電子部品としての水晶

1880年にピエール・キューリーとジャック・キュリーの兄弟が水晶などの結晶が応力により電気分極を生ずることを示し、圧電性の発見をしました。

圧電効果を応用した最初の例は、1917年第一次世界大戦中のフランスで、潜水艦ソナーの超音波に水晶が使用されました。 時計では、1927年にアメリカで水晶時計が開発され、1969年にセイコーが水晶発振式腕時計を発売したのが始まりです。

圧電効果とは

圧電効果(piezoelectric effect )とは、圧力を加えると、圧力に比例した分極(表面電荷)が現れる現象です。また、逆に電圧を印加すると圧電体自体が変形する現象を逆圧電効果といいます。
これらの現象を示す物質は圧電体と呼ばれ、ライターやガスコンロの点火、ソナー、スピーカー等に圧電素子として幅広く用いられています。

音叉型水晶振動子

音叉型水晶振動子

音叉型水晶振動子は名前の通り、ギターのチューニングで使用される音叉と同じような形状をしており、音叉はハンマーでたたく(刺激を与える)と音を発生させますが、音叉型水晶振動子では電流が流れると周波数を発振します。
また、水晶は機械的な刺激を与えると電気を発生する性質があり、逆に電気的な刺激を与えると、振動して周波数を発振するという“逆圧電効果”の性質もあります。これを電子回路で利用しています。音叉型水晶振動子は、主に時計機能やサブクロックに使用されます。

AT振動子

AT振動子の特徴

現在市場に流通している水晶振動子の大半は、MHz(メガヘルツ)帯のATカットと呼ばれるカットアングルの水晶振動子です。 

ATカットはその加工し易さ、周波数安定性の良さ (温度特性・経年変化など)、発振のし易さに影響する等価直列抵抗値が小さいことなどから、非常に広く使用されており、音叉型の水晶振動子以外は大半がATカットの水晶振動子でAT振動子は主にメインクロックとして使用されます。

AT振動子