知的財産
知的財産活動の基本方針と体制
SIIは、知的財産を事業活動上の重要資源と考え、開発などの成果の知的資産としての獲得とその活用に積極的に取り組んでいます。中・長期方針として「知的財産を尊重・重視する企業風土の醸成」を掲げ、知的財産部門、各事業部門が一体となり、経営戦略部門との連携のもと、新規事業創出、事業部支援、のための知的財産活動を行っています。
また、2022年7月1日より、親会社のセイコーグループ株式会社のグループ会社として、グループ全体の研究開発及び生産技術開発、事業サポートならびにグループ横断の新事業開発を主たる機能とする「セイコーフューチャークリエーション株式会社」が設立されました。今後は、「セイコーフューチャークリエーション株式会社」との連携も強化し、セイコーグループの成長に寄与する知的財産の構築を強化します。
特許出願と特許査定の状況
時計製造から始まる技術開発を基盤にしているSIIでは、特許技術をベースに製品の差別化を図っています。
2023年度の国内特許出願件数は66件、査定件数は57件でした。同様に海外特許出願件数は76件となり、出願国では中国、米国、欧州の順となっています。海外の査定件数は、81件でした。
一方で、1件の出願の質の向上を図るべく2008年度からは特許査定率の向上に力を入れてきました。年度によりばらつきはあるものの、査定率は向上傾向にあり、特許庁が公表している国内全体の査定率を上回る水準まで改善しており、2024年度の特許査定率は80%を超える高水準を達成しております。知的財産部門が権利化への活動を発明者とともに着実に対応することで、発明者の新規出願の質の向上にもつながるという、スパイラルアップを実現しています。
今後も、1件の出願の質の向上を図り強い知的財産基盤を構築することで、ブランド価値向上に向けた活動を継続していきます。
特許保有件数は、2024年3月時点の国内特許の保有件数は607件です。海外特許査定のトレンドも同様であり、2024年3月時点の特許保有件数は679件となっています。
知的財産情報システムの構築
SIIでは、知的財産戦略策定の根幹となる知的財産情報のシステム構築を進めています。システムは、自社の知財管理システムと他社特許などの調査システムを連動させ、さらにパテントマップ作成・分析システムとも連動を取ることで、より効果的な知的財産管理に活用しています。
近年は、特許調査システムの拡充を図り、AIを使ったテキストマイニングによる特許調査モジュールを従来のシステムに追加し、全社で活用推進を図ることで、発明者・技術者の特許調査負荷低減に貢献しております。
発明補償・ほう賞制度
発明を奨励し、SIIの技術競争力向上に資するために、1965年度から発明者に対する補償・ほう賞制度を運用しています。2016年4月より特許法が改正され、原始的に発明者帰属から使用者帰属へ変更が可能となりました。これを機にSIIでは使用者帰属へ変更すると共に、補償から全てほう賞に変更し、発明者にとって魅力があり、より強い特許の取得を促す制度になっています。
また、年度ごとに優秀発明者や、入社後3年目までの社員を対象にした優秀新人発明者に、表彰及びほう賞を提供することで、社員によるさらなる発明を奨励するとともに、若手の発明者の育成に力を入れています。さらに、発明協会等、外部機関の表彰制度を積極的に活用しています。
■関東地方発明表彰で発明奨励賞を受賞
2022年度の(公社)発明協会が主催する「関東地方発明表彰」にて、エスアイアイプリンテック(株)のインクジェットヘッド技術の特許6817008号が発明奨励賞を受賞しました。技術の独自性および産業貢献度が評価されました。今後も、外部機関による表彰制度を積極的に活用しながら技術の研鑽に努めていきます。
啓発・研修制度
全社員の知的財産に関する知識・モチベーションを向上させ、強い権利の取得・他社権利侵害回避のための知識を習得するために、各社員のレベルにあわせて設定した教育コースを設け、継続した教育に取り組んでいます。
コロナ禍の影響で集合形式の研修が困難になったため、2020年度からすべての講座をオンライン形式に変更し、時間も短縮して受講しやすい形式に変更しました。その結果、受講者数合計が大幅に増加し、社員のスキルアップにより貢献することができました。オンライン化や一講座あたりの時間短縮などにより、従来幕張本社で開催していた講座を地方の所属事業所あるいは在宅での受講が可能となったことが奏功したかと想定します。
また、グループの他の事業会社の方の受講推進や、技術職以外の方への啓蒙も含め、広く告知し、受講者の裾野を広げてゆきたいと考えています。
知的財産関連団体への活動支援
知的財産関連団体における理事・委員への就任等を行い、当該団体から特許庁に対する提言への寄与、地域の知財戦略実現・推進へのサポートなど、知財立国へむけた活動の支援を行っています。
また、関連団体の研究会などへも積極的に参画し、課題解決の糸口を探るとともに、社外ネットワーク構築も行ってまいります。