資源循環
考え方・方針
資源を利用し製品やサービスを提供するメーカーにとって資源循環は重要な経営課題であり「循環型社会」の形成に向けて果たすべき責任はますます重大になってきました。昨今ではサーキュラーエコノミーへの転換が求められています。
SIIでは製品の材料となる鉱物資源やプラスチック、木材や紙などの生物資源、そして生産工程では水資源など多くの資源を利用しています。環境方針において「資源の有限性と貴重さを認識し、資源循環に努める。」とし、製造・販売の場面だけではなく、原材料採取から廃棄・リサイクルまでの全ライフサイクルにおいて、資源の有効活用や廃棄物の削減が重要であると考えています。
まず、3Rの考え方に基づき、上流及び製造の段階から徹底して資源を効率的に利用しています。そして可能な限り再利用し、廃棄物として排出する際にはリサイクルが可能な委託先を開拓し、最終処分場への排出の最小化を図っています。
さらに、製品の企画設計段階から、製品の長寿命化や小型軽量化を図るだけでなく、顧客企業や最終消費者における効率的な資源利用やリサイクル推進に寄与する製品を目指しています。また、品質を十分に確認した上で再生材の利用や再資源化を進めています。
廃棄物
2023年度の総括
2023年度も、3Rを基本に材料からの取り個数の向上、製品の小型化、洗浄剤のリユースなど地道な資源循環に取り組みました。
国内拠点の廃棄物は、約8割が一般廃棄物、汚泥、廃プラ、金属屑で占められています。2023年度の排出量は生産設備などの廃棄による金属屑の増加により、前年度より95トンの増加となりました。一方で、再資源化率は10ポイント向上しました。
海外拠点の廃棄物は、約8割が金属屑と廃液で占められています。2023年度の排出量は生産減に伴う金属屑の大幅減少により、587トンの削減となりました。
国内拠点 廃棄物排出量と再資源化率
国内拠点の廃棄物排出量 1,114トン | 前年度比 +9% 95トン増加 |
排出量には有価物を含みます。 端数処理の関係でグラフ値の差と合わない場合があります。 |
海外拠点 廃棄物排出量と再資源化率
海外拠点の廃棄物排出量 1,909トン | 前年度比 -24% 587トン削減 |
排出量には有価物を含みます。 端数処理の関係でグラフ値の差と合わない場合があります。 |
製品の回収と再資源化
SIIでは資源の有効活用のため、業界団体などを通じて使用済みの製品や消耗品の回収と再資源化に取り組んでいます。
製品など | 参加団体 |
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ボタン電池の回収 | ボタン電池回収推進センター(一般社団法人電池工業会) |
小形二次電池 | 一般社団法人JBRC |
容器包装 | 公益財団法人日本容器包装リサイクル協会 |
水資源
2023年度の総括
SIIでは、水は貴重な自然資本であるという認識のもと、水資源の3Rに取り組んでいます。取水量の削減とともに、製造工程で使用した水の循環利用も進めています。
2023年度の取水量は前年度より国内拠点では5%増加、海外拠点では7%削減しました。
新たな取り組みとして、SII全生産拠点における水リスク評価を実施し、また、セイコーグループとして、取水量について第三者検証を受審しました。
目標
セイコーグループの目標値に準じ、2024年度から2026年度までの各年度において、取水量売上高原単位を基準年以下(2021年度実績0.33千㎥/億円以下)とすることを目標としています。
今後も水資源の有効活用に努め、取水量削減の施策を順次進めていきます。
国内拠点 取水量
国内拠点の取水量 309千㎥ | 前年度比 +16% 16千㎥ 増加 |
海外拠点 取水量
海外拠点の取水量 142千㎥ | 前年度比 -7% 11千㎥ 削減 |
純水のリサイクル
エスアイアイ・クリスタルテクノロジー(株) では、部品の洗浄工程で純水を使用しています。洗浄後の水は処分せずに回収し、純水リサイクルの工程を経て、再び洗浄工程で利用しています。これにより年間約17.6千m³の水を循環利用しています。
水リスク
水リスクの要素には、取水のリスク、洪水のリスク、排水の法規制強化によるリスク、及び有害物質が混入した雨水の排水リスクな様々な視点で捉えることが重要です。
SIIでは、全生産拠点について、水リスク評価のグローバルツールとなっている世界資源研究所(WRI)が開発したAqueduct、および世界自然保護基金(WWF)のWater Risk Filterを用いて調査を行いました。調査の結果、現時点、及び2030年時点(予測)で、海外4拠点(タイ2拠点、中国2拠点)が水ストレスの高い※ 地域に位置していることが判明しました。
当該拠点における2023年度の取水量の合計は142千㎥であり、これはSIIグループの総取水量の31.5%(2023年度実績)となります。
また、現在、SIIの各事業所では、自社と主たるサプライヤーを対象に洪水などに対するリスクを明らかにし、発生時の対応策を確立しています。
引き続き自社とサプライチェーンを含めた生産拠点を中心に水リスクの把握と対応に努めていきます。
※ WRI AqueductのWater Stressにおいて、リスク評価が高(High)、及び極めて高い(Extremely High)の拠点