気候変動

考え方・方針

自然災害の多発など、気候変動による事業上のリスクは年々高まってくる中で、「脱炭素社会」の実現に向けて企業が果たすべき役割や責任はますます大きくなっています。
SIIは、環境方針において「温室効果ガス排出量の削減を徹底し、気候変動の緩和と適応に努める。」とし、温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます。
温室効果ガス排出量の削減には、CO2、およびCO2以外の温室効果ガスも対象に「省エネ活動」、「再生可能エネルギーの導入」、「バリューチェーンでの削減」を主軸に取り組んでいます。 また、製品・サービスについては、グリーン商品制度の中で配慮項目のひとつに消費電力をあげて、省エネ性に配慮した製品の創出に注力しています。
省エネ活動では、各種設備の効率的な運用管理、高効率設備への更新、身近な省エネ活動などを推進していますが、これらの活動は継続的に取り組むことが必要だと考えています。 再生可能エネルギーには複数の種類や手段がありますが、事業所の立地、特性に応じた最適な方法を採用することが肝要だと考えています。

長期目標

SIIは、親会社のセイコーグループ株式会社が設定しているセイコーグループ全体の温室効果ガス排出量削減の長期目標に準拠し脱炭素社会の実現に取り組んでいます。

【セイコーグループの温室効果ガス排出量削減目標】

2030年度
 Scope1、22022年度比で42%削減
 Scope32022年度比で25%削減 対象:カテゴリ1、11
2050年度
 ネットゼロを目指す

2030年度に向けた目標については、パリ協定で定める1.5℃水準に整合した目標であるとして、2024年4月にSBTi (Science Based Targets initiative) よりSBTの認定を取得しました。

2023年度の総括

2023年度は、省エネ活動として主に空調設備の高効率設備への更新、照明器具のLED化に継続的に取り組みました。再生可能エネルギーについては、国内製造拠点の使用電力を2024年度に100%再エネ化することを目指して、電力契約の見直しなどの検討を行いました。また、テナント入居部分における温室効果ガス排出量について、面積按分により適正な見直しをしました。これらの取り組みにより、国内拠点の温室効果ガス排出量は前年度比で約25%減となりました。
海外拠点においては温室効果ガス排出量の対象範囲を拡大した一方で生産減の影響があったことで前年度比で0.4%減となりました。
バリューチェーンでの温室効果ガス削減では、製品の輸送時の温室効果ガス排出に着目し、一部の製品の輸送については航空便から船便に変更するなど、 モーダルシフトを進めています。
これらの活動の他、TCFD提言に基づく情報開示はセイコーグループの一員として継続的に取り組みました。
また、新たな取り組みとして、温室効果ガス排出量及び取水量についてはセイコーグルーブとして第三者検証を受けました。

国内拠点 温室効果ガス排出量

国内拠点温室効果ガス排出量の推移
国内拠点のGHG排出量 20,988 tーCO2 前年度比 -24.9% 6,942 tーCO2削減

 


海外拠点 温室効果ガス排出量

海外拠点温室効果ガス排出量の推移
海外拠点のGHG排出量 28,591 tーCO2 前年度比 -0.4% 118 tーCO2削減

    ■凡例

  • SIT:Seiko Instruments (Thailand) Ltd. 
  • DSI:大連精工電子有限公司
  • SITS:精工電子技術(上海)有限公司

 


■Scope別温室効果ガス排出量【国内拠点】

単位:t-CO2
  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
Scope1 3,584 3,172 3,409 3,327 3,276
Scope2 38,781 25,527 24,476 24,603 17,712
合計 42,365 28,699 27,885 27,930 20,988

※端数処理の関係で合計が合わない項目があります。

Scope1:事業者自らによる直接排出(燃料の燃焼など)
Scope2:他社から供給された電気などの使用に伴う間接排出(マーケット基準)

 ■集計範囲
・SIIグループ国内・海外事業会社全社
・CO2以外の温室効果ガスを含む
・生物由来のGHG排出はなし

 ■排出係数
・電気:温対法「電気事業者別排出係数」を使用
・燃料:温対法「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」を使用
・CO2以外の温室効果ガス:温対法「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」を使用

■Scope別温室効果ガス排出量【海外拠点】

単位:t-CO2
  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
Scope1 473 464 757 728 3,562
Scope2 47,334 29,708 32,003 27,980 25,029
合計 47,807 30,173 32,760 28,708 28,591

※端数処理の関係で合計が合わない項目があります。

Scope1:事業者自らによる直接排出(燃料の燃焼など)
Scope2:他社から供給された電気などの使用に伴う間接排出(マーケット基準)

 ■集計範囲
・SIIグループ国内・海外事業会社全社
・CO2以外の温室効果ガスを含む
・生物由来のGHG排出はなし

 ■排出係数
・電気:IEA「Emissions Factors」を使用
・燃料:温対法「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」を使用
・CO2以外の温室効果ガス:温対法「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」を使用

■Scope別温室効果ガス排出量【国内拠点・海外拠点合計】

単位:t-CO2
  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
Scope1 4,057 3,636 4,166 4,055 6,839
Scope2 86,115 55,235 56,479 52,583 42,741
合計 90,172 58,872 60,645 56,639 49,579

※端数処理の関係で合計が合わない項目があります。

■ Scope3 温室効果ガス排出量

Scope3 温室効果ガス排出量

カテゴリ 項目 GHG排出量
(t-CO2
%
カテゴリ1 購入した製品・サービス 82,131 61.7%
カテゴリ2 資本財 10,746 8.1%
カテゴリ3 Scope1,2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 7,573 5.7%
カテゴリ4 輸送、配送(上流) 6,154 4.6%
カテゴリ5 事業活動から出る廃棄物 1,499 1.1%
カテゴリ6 出張 1,375 1.0%
カテゴリ7 雇用者の通勤 2,184 1.6%
カテゴリ8 リース資産(上流) 122 0.1%
カテゴリ9 輸送、配送(下流) 39 0.0%
カテゴリ10 販売した製品の加工 147 0.1%
カテゴリ11 販売した製品の使用 20,874 15.7%
カテゴリ12 販売した製品の廃棄 324 0.2%
カテゴリ13 リース資産(下流) - -
カテゴリ14 フランチャイズ - -
カテゴリ15 投資 - -
合計 133,168 100.0%

■ LED化の推進

SIIの国内外の各拠点では計画的に照明のLED化を推進しています。

Seiko Instruments(Thailand)Ltd.でのLED化
Seiko Instruments(Thailand)Ltd.でのLED化

■ 設備改善/設備更新

2023年度も継続的な省エネ活動の一環で設備の改善や更新に取り組みました。

中国の大連精工電子有限公司では冷却水システムの改善に取り組みました。
従来の冷却水システムでは、気温の変化などの負荷に関わらず一定の電力を消費していました。そこで、気温の変動などの負荷に応じてポンプの駆動を制御可能とすることにより、電力使用量をおよそ半減することができました。今後は冬季において冷却水システムの熱を回収し再利用することを検討していきます。

冷温水システムの制御盤
冷温水システムの制御盤

エスアイアイ・クリスタルテクノロジー(株)では5カ年計画で空調機器の更新を推進しています。3年目となる2023年度は新たに5台更新しました。


【2022年度の事例】

■ 再生可能エネルギーの導入拡大

タイのSeiko Instruments(Thailand)Ltd.では継続的に太陽光発電を導入しています。2022年はGateway工場にて建屋の屋根に太陽光パネルを設置し、2023年2月より太陽光発電システムの稼働を開始しました。Seiko Instruments(Thailand)Ltd.はSIIグループの中で温室効果ガス排出量が一番多い事業会社です。今後も計画的に太陽光発電を導入し、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいきます。

工場の屋根に太陽光パネルを設置
工場の屋根に太陽光パネルを設置

■ Seiko Instruments(Thailand)Ltd.がGreen Industry Level 4に認定

Seiko Instruments(Thailand)Ltd.の2つの工場ではタイ国工業省が主催するGreen Industry ProjectにおいてLevel 4の認定を受けました。Green Industry Projectは、環境問題や社会問題に対する産業界の意識向上と持続可能な産業の発展を目指した制度で、環境への貢献度によりLevel 1からLevel 5までの5段階で認定されます。Seiko Instruments (Thailand) Ltd.では環境マネジメントシステムに基づいた継続的な環境活動が認められ、2018年にLevel 3(Green System)を取得しました。次のステップであるLevel 4(Green Culture)では、企業文化として、工場で働くすべての人が環境および社会への責任を持ち行動することが定着していることが求められています。Seiko Instruments(Thailand)Ltd.ではLevel3の取得後も社員が一丸となってLevel 4(Green Culture)認定を目指してさまざまな活動に取り組んできました。審査員からは「社員ひとり一人の環境に対する意識が高く実践できている」と高い評価をいただきました。

審査風景
審査風景/認定書

■ LED化の推進

SIIの各事業所では計画的に照明のLED化を推進しています。
エスアイアイ・クリスタルテクノロジー(株)では2019年より4カ年計画で天井照明のLED化を推進してきました。2022年度で完了となり、4年間で1150台を交換しました。

LED照明
LED照明

【2021年度の事例】

■ 再生可能エネルギーの導入

仙台事業所は、再生可能エネルギーを導入し、2022年3月より運用を開始しました。芙蓉総合リース(株)との電力購入契約(PPAサービス)によるもので、仙台事業所の工場の屋根に、約760kWの太陽光発電設備を設置、太陽光により発電したグリーン電力を仙台事業所が利用しています。仙台事業所はマイクロ電池や小型磁石、高機能金属製品などの製造を行っており、SIIの国内拠点では温室効果ガス排出量が一番多い事業所です。SIIでは今後も計画的に再生可能エネルギーを導入し脱炭素に向けた取り組みを加速していきます。

工場の屋根に太陽光発電設備を設置
工場の屋根に太陽光発電設備を設置

タイのSeiko Instruments(Thailand)Ltd.のNavanakorn工場では、工場敷地に太陽光パネルを設置し、2021年6月より太陽光発電システムの稼働を開始しました。その後、同じく敷地内に太陽光パネルを増設し、2021年10月からは計1.7MWp規模の発電を開始しています。Seiko Instruments(Thailand)Ltd.はSIIグループの中でCO2排出量が一番多い事業会社です。今後も計画的に太陽光発電を導入し、CO2排出量の削減に取り組んでいきます。

敷地内に設置した太陽光パネル
敷地内に設置した太陽光パネル

■ LED化の推進

SIIの各事業所では計画的に照明のLED化を推進しています。
エスアイアイ・クリスタルテクノロジー(株)で2019年より4カ年計画でLED化を推進しています。2021年度は292本の蛍光灯を交換しました。

LED照明

■ 設備更新

タイのSeiko Instruments(Thailand)Ltd.は「省エネ・改善プロジェクト」を展開しています。その一環で2021年度は設備の更新や運用改善に取り組みました。Navanakorn工場ではオフィスエリアの空調機を更新し、年間約55,000kWhの電力使用量を削減しました。Gateway工場ではチラーの熱交換用フィンコイルを変更することで年間約360,000kWhの電力使用量の削減につながりました。
今後も再生可能エネルギーの活用と共に、省エネ活動を推進していきます。

チラー

【2020年度の事例】

■ 再生可能エネルギーの導入

タイのSeiko Instruments(Thailand)Ltd.のNavanakorn工場では、工場敷地に太陽光パネルを設置し、2021年6月より太陽光発電システムの稼働を開始しました。今回の規模は0.7MWpになります。Seiko Instruments(Thailand)Ltd.はセイコーインスツルグループの中でCO2排出量が一番多い事業会社です。今後も計画的に太陽光発電を導入し、CO2排出量の削減に取り組んでいきます。

敷地に設置した太陽光パネル
敷地に設置した太陽光パネル

■ エネルギー効率向上プロジェクトへの参加

Seiko Instruments(Thailand)Ltd.のGateway⼯場では、代替エネルギー開発・効率局(以下、効率局)が主催する「エネルギー効率向上プロジェクト」に参加しました。このプロジェクトは、効率局が⼯場におけるエネルギー効率基準を設定するにあたり、企業に調査協⼒を求めるものです。Gateway⼯場は、効率局によるチラーの電⼒使⽤量調査などの実地調査に協⼒しました。効率局からはプロジェクト参加に対し感謝状が贈られました。

感謝状
感謝状