製品含有化学物質の管理
EUが先駆けとなって製品に関連した化学物質規制の強化は、アジア地域を始め世界各国に拡大しています。
SIIでは、規制によって禁止されている物質はもちろん、人体や環境に有害性が懸念されている物質についても管理対象物質と定めて、製品への含有禁止や削減に取り組んでいます。 製品に携わる事業部門では管理体制を構築し、削減活動の推進と定期的な分析などにより製品への含有の未然防止を図っています。
EUのRoHS指令※1では、2019年7月から4物質のフタル酸エステル類が制限物質として追加されました。SIIでは、2019年5月に指令対象のEU向け製品は完了していますが、すべての製品も代替品の切り替えを順次進めています。
また、2021年7月期限のSIIに関連する適用除外の延長申請に対して欧州委員会から委託されたコンサルタントから、最終報告書が2022年1月に公表されました。最終報告書では除外項目により申請された延長期限の短縮や特定製品のみに適用されるなど条件が厳しくなっています。今後は、EU委員会などで審議され官報の公布となりますが、現在の除外内容より厳しくなることが考えられます。※2
SIIでは適用除外は永遠に継続されるものではないとの認識に立ち、新製品では鉛を含有しない材料を使用した製品開発、既存製品においては一部の材料については代替の可能性を探る試験を継続的に実施し、良好な結果が得られた製品では代替を実現しています。
今後も、適用除外の動向を踏まえ、また、環境負荷、経済的な観点も考慮しながら代替化に向けての技術開発に取り組んでいきます。
REACH規則※3では、製品に含まれる高懸念物質※4(SVHC)の含有状況により、お客様などへの情報伝達やEUへの出荷数量によりEU当局への届出義務があります。SVHCは毎年、物質が新規に追加され、2023年6月時点で235物質となっています。
SIIでは継続的に含有状況を調査し、その結果を踏まえて、義務を果たしていくと同時に削減と代替活動を進めていきます。
※1 RoHS指令:電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令。制限物質は鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、PBB、PBDE。2019年7月22日からDEHP、DBP、BBP、DIBPが制限物質として追加された。
※2 延長承認:再期限日や条件を設定される。 延長否認:12~18ヶ月の猶予後失効。 期日までに結論が出ない場合:決定するまで期限は延長される。
※3 REACH規則:EUにおける化学物質の登録・評価・認可および制限に関する規則。
※4 高懸念物質(SVHC:Substances of Very High Concern):REACH規則の付属書XIV「認可対象物質」となる候補物質。その物質は「候補リスト(Candidate list )」に収載される。